Rust
概要: Rustのパニック機構は異常終了の処理を安全に行うためにある。この動作を詳しくみていく。 パニックとは何か Rustには2つの異なる例外処理機構があります。 発生源 対処方法 例 パニック プログラミングエラー 原則として捕捉しない assert!() 境界外…
概要: Rustの関数ポインタの落とし穴について その1: 関数ポインタはクロージャとは異なる これはC/C++に慣れている人には当たり前ですが、関数ポインタ型 (fn()) とクロージャ型 (Fn()) には重大な違いがあります。それは、関数ポインタは環境をキャプチャ…
概要: NonNullが安定化され、1.25.0から使えるようになる。そこでNonNullの利用例としてInternerを実装してみた。 NonNull とは NonNull はRustにある生ポインタ型のひとつです。元々 Unique, Shared という2つの生ポインタ型でしたが、安定化を機に統合・仕…
概要: impl Trait が安定化間近である。これはトレイトオブジェクトと似た用途を持つが、静的ディスパッチされSizedのまま使えるため効率的である。 impl Trait が安定化間近 Rustでは新規の機能はまずnightlyバージョンに「不安定機能 (unstable feature)」…
概要: Rust libstd内では既に特殊化が使用されているので、特定の条件を満たすことでより効率なコードが生成される。 PartialEq<[T]> 最適化される処理: スライスの比較処理 間接的に最適化される処理: Vec<T>, str, String の比較など 条件: 内部トレイト Byte</t>…
概要: PhantomData<T> には3つの異なる役割があり、多くの場合は PhantomData<fn() -> T> の形で使うのが無難である。 はじめに PhantomData<T>は特殊な型で、中身を持たないにもかかわらず、型システム上は中身を持つかのように振る舞います。幽霊型 (phantom type) と関</t></fn()></t>…
概要: Rustでは Vec<T> とその要素への参照を同時に返すことはできないが、これを部分的に可能にするcrateはある。 やりたいこと 以下のように、 Vec<T> とその要素への参照を同時に返したい。(あるいは、こういった組を構造体に格納したい。) fn foo() -> (Vec<i32>, &</i32></t></t>…
概要: Drop CheckerはRustのボローチェッカに付属する追加の検査器で、コンパイラが自動で挿入するdrop処理の安全性を保証するためのものである。これの詳細な規則とその正当性を理解したかったので自分なりに整理した。 dropckの概要についてはRustonomicon…
概要: Rust-proofはElectrolysisと同様にRustプログラムから検証条件を抽出するが、LeanではなくSMTソルバであるZ3向けの検証条件を出力する。こちらも開発が放棄されているように見えるが現在もビルド可能である。 準備 テスト用リポジトリを準備する $ car…
概要: ElectrolysisはRustの検証条件をLEANに出力するプロジェクトである。これを使ってみた。 Electrolysisとは Electrolysis (electrolysis: 電解) はSebastian Ullrich氏の修士研究で開発されたプロジェクトで、Rustプログラムの正当性や計算量に関する検…
以下のトレイトは通常のコヒーレンス規則に加えて、特別なコヒーレンス規則が適用される。 Sized, Unsize Sized, Unsize の手動実装を与えることはできない。 Fn, FnMut, FnOnce Fn, FnMut, FnOnce の手動実装は安定版では禁止されており、 #![feature(unbox…
Rustでは以下のようなプログラムはコンパイルエラーになる。 struct List<X>(Option<Box<(X, List<X>)>>); // 通常は X: Clone を仮定するが、あえて Option<Box<(X, List<X>)>>: Clone としてみる impl<X> Clone for List<X> where Option<Box<(X, List<X>)>>: Clone { fn clone(&self) -> Self { List(self.0.clone()</box<(x,></x></x></box<(x,></box<(x,></x>…
概要: RustのRFCの一覧を作ろうとしたが、あまりに多いのでとりあえず1552までで公開することにした。なお、単に全てのRFCを列挙したいならばここを見ればよい。 このRFCはRustのコミュニティーが管理しているものであり、 “RFC” の元祖であるIETF RFCとは関…
概要: Rustの impl が定義できる型にはコヒーレンスと呼ばれる制限がある。これについて説明する。なお、この記事では特殊化がない前提で説明する。 コヒーレンス初心者のための概説 以下のように impl が重複していたり、自分のところ以外の型の impl を定…
概要: RustのRFCの一覧を作ろうとしたが、あまりに多いのでとりあえず1240までで公開することにした。なお、単に全てのRFCを列挙したいならばここを見ればよい。 このRFCはRustのコミュニティーが管理しているものであり、 “RFC” の元祖であるIETF RFCとは関…
RustBeltの examples/get_x.v をいじってみた。 From iris.proofmode Require Import tactics. From lrust.typing Require Import typing. Set Default Proof Using "Type". Section get_x. Context `{typeG Σ}. Definition get_x : val := funrec: <> ["p"]…
概要: RustのRFCの一覧を作ろうとしたが、あまりに多いのでとりあえず0900までで公開することにした。なお、単に全てのRFCを列挙したいならばここを見ればよい。 このRFCはRustのコミュニティーが管理しているものであり、 “RFC” の元祖であるIETF RFCとは関…
概要: Coqと高階分離論理を用いたRustの検証プロジェクトであるRustBeltの論文とCoqの証明ファイルが公開されたので、とりあえずビルドしてみた。 RustBeltはopamを使うと簡単にビルドできるようだが、ここではWindowsでビルドしてみた。 環境 64bit Windows…
概要: RustのRFCの一覧を作ろうとしたが、あまりに多いのでとりあえず0500までで公開することにした。なお、単に全てのRFCを列挙したいならばここを見ればよい。 このRFCはRustのコミュニティーが管理しているものであり、 “RFC” の元祖であるIETF RFCとは関…
この記事は古いのでこちらをご覧ください 概要: RustのRFCの一覧を作ろうとしたが、あまりに多いのでとりあえず0200までで公開することにした。なお、単に全てのRFCを列挙したいならばここを見ればよい。 このRFCはRustのコミュニティーが管理しているもので…
概要: トレイト選択とは、トレイト制約の解決方法を検索するコンパイラの処理であり、型推論にもコード生成にも使われる重要な部品である。本記事ではトレイト選択の動作の詳細について解説する。 トレイト選択とは トレイト選択 (selection) とは、トレイト…
概要: Rustのミュータビリティー推論に使われる左辺値選好と可変性調停について説明する。 左辺値選好 Rustの型推論では、期待型のほかに、左辺値選好 (lvalue preference) という状態もトップダウンに渡される。 LvaluePreferenceは以下のどちらかの値をと…
Rustの期待型は以下のようなデータ構造になっている。 #[derive(Copy, Clone, Debug)] pub enum Expectation<'tcx> { NoExpectation, ExpectHasType(Ty<'tcx>), ExpectCastableToType(Ty<'tcx>), ExpectRvalueLikeUnsized(Ty<'tcx>), } このように4つのコン…
以前の記事で説明したように、Rustでは型強制や整数リテラルなどの特殊な型推論をシームレスに行うために期待型という概念を導入している。 この期待型はトップダウンに伝搬されるが、先ほどの記事で挙げた例 fn main() { let x : Box<[_]> = Box::new([1, 2…
概要: 原則として x + y は ::std::ops::Add(x, y) の構文糖衣であるが、型推論で特別扱いされる。 演算子の脱糖 演算子の脱糖は型推論の後、HIRからMIRへの変換のタイミングで行われる。原則として x + y は ::std::ops::Add(x, y) の構文糖衣である。これ…
パターンマッチを持つ言語では、変数束縛とコンストラクタ/定数が構文上曖昧である場合がある。Rustでは以下の規則に従っている。 以下のように、構文的にパスであるとわかる場合は、常にコンストラクタ/定数とみなす。 :: を含んでいる場合。 (::A, self::A…
Rustでは use std; や use rand; のようなインポートが必要な場合と、逆に書くとエラーになる場合がある。 簡単に言うと トップレベルモジュールでは、書くとエラーになる(既にある名前と衝突する)。それ以外の場所では、必要な場合がある。 これは名前をロ…
Rustでは unsafe の表明を行わない限り未定義動作が発生しない。コンパイラや言語仕様のミスにより未定義動作が発生しうる場合には優先的に修正される。(なお、整数オーバーフローのように特定条件下でエラーになるものであっても、正しくunwind/abortできる…
Rustコンパイラは同梱のrustbuildというツールでビルドされる。これはRustとPython2で書かれている。 README.md にも説明が書かれているが、ここで改めて説明をしてみる。 ./x.py は src/bootstrap/bootstrap.py にリンクされている。これは次のような動作を…
Vec<Result<_>> ではなく Result<Vec<_>> を得る collect() 関数を使うと、 Vec<Result<_>> を得ることもできるし、 Result<Vec<_>> を得ることもできる。変換先の型を明示することで区別する。 fn main() { // 全てSomeならSome(配列)を返し、どれかがNoneなら全体もNoneになる assert_eq!([So</vec<_></result<_></vec<_></result<_>…